施術内容
受け口の手術には歯科口腔外科での骨切り術と美容外科で行う骨切り術とがあります。どちらも一長一短がありますが当院で行う下顎骨分節骨切り術は、奥歯の噛み合わせをそのままに保つため、通常約1年かかる矯正を必要としません。多少の唇の腫れが手術後1、2週間はありますが、手術の当日から受け口の状態が改善されているのがわかります。
手術方法は、まず左右の第1小臼歯(前から4番目の歯)を抜歯することによって間隙を6~7mm程度つくります。その間隙部で骨切り術を行い、骨と歯を一塊として後方に変移させるというものです。
お勧めの方
・受け口の外観や輪郭を修正したい方
・約1年かかる歯科矯正なしに短期間で治したい方
・奥歯の噛み合わせに問題のない方
受け口(下顎前突・反対咬合)
受け口の特徴
受け口の特徴は以下の3つです。
① 口を閉じた時、下唇や下顎が前方に出ている
② 噛み合わせた時、下の前歯が上の前歯よりも出ている
③ 下顎が出ているので、しゃべるときの発音が特徴的
下顎骨分節骨切り術
受け口の手術方法には2つの方法があります。
歯科矯正を必ず必要とする矢状分割法
歯科矯正を基本的に必要としない分節骨切り術
受け口の治療にあたって最も重要なことは歯の噛み合わせです。矢状分割法は下顎全体を後方へ変移させる方法です。手術後噛み合わせに問題がでないよう、手術前に十分な矯正が必ず必要となります。
それに対して分節骨切り術は、下の前歯部分のみを後方へ変移させる方法です。奥歯の噛み合わせには影響を与えないため手術前の矯正を必要としません。1日で改善を得られることが最大の特徴です。
分節骨切り術の利点と欠点
利点 | 欠点 |
---|---|
|
|
下顎分節骨切り術の実際
術前準備
手術前の検査として、レントゲン写真・歯列モデル(歯型)の作成・採血をあらかじめ行う
手術
① 口腔粘膜の切開(上図左)
② 4番目の歯(小臼歯)を左右それぞれ抜く
③ 下の歯を一塊とした骨切りを行い後方に変移させる
④ 骨をプレートで、歯は細いワイヤーで固定する
⑤ 必要に応じて骨の隙間に人工骨を充填する
⑥ 粘膜の縫合
術後
2週間後に口腔内の糸の抜糸、6か月後に細いワイヤーの抜去を行います。
POINT
(1)歯科矯正を必要とする矢状分割法では手術までに1年以上必要ですが、分節骨切り術では手術前の歯科矯正なしに手術が可能です。
(2)しゃくれた顎(噛みあわせに問題はないが顎が突出している)・長い顎も、水平骨切り術を同時に行えば治療可能です。
(3)分節骨切り術は、矢状分割法に比べ手術を短時間で終えられるためダメージが少なく、以下のような合併症の可能性がほとんどないことが特徴です。
受け口(下顎分節骨切り)の特徴
-
施術時間
約3時間
-
麻酔
全身麻酔
-
腫れ具合
★★★☆☆
-
ダウンタイム
強い腫れ 1週間
口腔内抜糸 2週間後
食事は翌日から可能で傷にしみるような刺激物は避ける。
1か月間は前歯でものを噛むことは避ける。
症例写真
受け口(下顎分節骨切り)症例写真
下顎分節骨切り術(+オトガイ形成術)
目隠しモニター
よくある質問と答え
- 受け口で顎がしゃくれています。同時に治せますか?
- 受け口で長い顎ですが同時に治せますか?
- 反対咬合の手術後は何かで固定しますか?
- 他院では入院が必要と言われました。そちらも入院しなければいけませんか?
- 手術後の食事について教えてください。
- 保険の適応となりますか?
- 腫れについて教えてください。
- 痛みについて教えてください。
- 水平骨切り術を同時に行って、下顎の先端部分を後方に引っ込めることができます。
- 水平骨切り術(中抜き)を同時に行って、顎を短くさせることができます。
- 骨はチタンプレートで、3番目と5番目の歯は細いワイヤーで固定します。
- 矢状分割法は術後の様々な合併症を考えて必ず入院が必要ですが、分節骨切り術では手術時間が短く負担が少ない手術方法なので、手術後の状態に問題がなければ入院の必要はありません。
- 骨切りをした骨が癒合するのに1ヶ月は安静が必要です。1か月間は前歯を使うことは控えてください。その後2か月間は前歯に強い力が加わらないようにしてください。
また手術後1~2週間は、刺激物は傷口にしみるのでお控えください。 - 噛み合わせを治す手術ではなく、整容的に形態を治す手術なので保険は適応されません。
- 1週間は下唇や下顎部分に強い腫れが出ますが、約2週でかなりおさまってきます。
- 3日間くらいは炎症の強い時期なので痛みはありますが、処方する鎮痛薬で対処できる程度です。1週間もすれば痛みはかなり改善してきます。